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Ambient Weaving Ⅱ

会期
2023年10月27日(金)–2024年3月17日(日)
開館時間
10:30–18:00
(祝日・年末年始を除く、入場は閉館の15分前まで)
入場料
無料
会場
HOSOO GALLERY
研究開発
株式会社細尾、東京大学筧康明研究室、株式会社ZOZO NEXT
主催
株式会社細尾、株式会社ZOZO NEXT
技術提供
株式会社日本触媒、富士フイルム株式会社

この度、HOSOO GALLERYでは、「Ambient Weaving Ⅱ」と題した展示を公開いたします。

株式会社細尾は、2020年より、東京大学筧康明研究室、株式会社ZOZO NEXTとともに、伝統工芸と先端テクノロジーを組み合わせた機能性と美しさを両立する新たなテキスタイル開発に取り組んできました。HOSOO GALLERYでは、2021年に展示「Ambient Weaving──環境と織物」を開催し、研究成果を公開しました。本展では、その後2年に及び継続された共同研究の最新成果を展示します。最新の研究成果作品は、物質が持つ色そのものではなく、織物が重なり合うことによって初めて生じる色や、特定の環境条件下においてのみ知覚することができる色や光など、環境と人との間合いに存在する現象を織物によって表現するものです。

近年、人新世の時代として、環境と技術(テクノロジー)の関係性に大きな注目が集まっています。テクノロジーは、単なる科学技術の発展による文脈で語られるだけではなく、自然哲学や文化体系にも大きな影響を与えてきました。特に空間形成における新たな技術が果たす役割は大きく、情報空間が肥大化する現代において、環境の定義は、ますます変化・変容の一途を辿っています。ひいては自然という概念そのものの再定義が求められています。

「Ambient Weaving」は、2020年より細尾、ZOZO NEXT、東京大学による共同研究プロジェクトの過程で創出したコンセプトであり、そのプロジェクトの中で生み出された「環境情報を表現する織物」「環境そのものが織り込まれた織物」を指します。織物は、1万年以上前には成立していたとされる最古のテクノロジーの一つと言えます。古くは、身近な草木を素材として糸を作り、染めをおこない、織物が作られてきました。織物は、人々が暮らす周辺環境を内包してきたメディウムと言っても過言ではありません。一方、織物は、絨毯や空間の囲いとして、人と環境を隔てる間仕切りのような役割を果たしてきました。織物は、完全に環境を分断する壁面とは異なり、時に光や風を透過させ、色彩現象や時に触覚的な体験を引き起こすことで、空間の内側に新たな環境を生じさせることも可能であると考えます。本展では、前回の「環境情報を表現する織物」「環境そのものが織り込まれた織物」からの発展として、「環境を形づくる織物」の可能性を模索します。

このような織物を可能とするのは、西陣織の技法です。西陣織は、1200年にわたり美を追い求める中で発展してきた高度な紋織物で、緯糸を幾重にも積み重ねることで複雑な意匠を表現してきました。また、これらの緯糸は、箔糸など、さまざまな細さや硬さを持つ多様な素材を織り込むことが可能です。本プロジェクトでは、このような西陣織の技法的特質を生かし、先端的な素材を織り込むことで、環境条件によって変化する機能性を有した織物を実現しています。

そして、本展の最大の特徴は、織物による茶室「織庵」とプロトタイプ作品を併置し、展示を構成している点です。織庵は、和紙糸を用いた障子のような紗の織物によって囲われた織物による茶室です。茶室のルーツの一つとして、空間を囲うことで人々が寄り合う場を形成していたことが挙げられます。織庵は、このような「囲い」という茶室の始まりに立ち帰り、織物を起点に現代ならではの茶の湯文化を通じて、空間の在り方を考察することを目指して制作されました。「Ambient Weaving Ⅱ」では、この織庵と共にプロトタイプ作品を紹介することで、多様な文化的背景と接続しながら、環境ひいては自然の再定義を試みます。

Virtual Gallery Exhibition Handout

「Ambient Weaving II」

空間構成:SUO
キュレーション:井高久美子
ビジュアライゼーション/テキスタイルデザイン:堂園翔矢
写真: 田中恒太郎
宣伝美術:森田明宏
PR:青柳桃子

株式会社ZOZO NEXT
中丸啓、田島康太郎、佐々木伽耶人、高野幹、佐治美千香

東京大学筧康明研究室
研究・作品制作:筧康明、西原由実、呂亜輝

「茶室 織庵」

設計:SUO
カラーディレクション/テキスタイルデザイン:メイ・エンゲルギール
協力:伊住禮次朗(茶美会主宰)、株式会社Tesera、井高久美子

リサーチ:HOSOO STUDIES
ディレクション:細尾真孝