ARCHIVE

HOSOO Research & Development Project vol.4

Texture from Textile Vol.1 コンストラクションの系譜

会期
2022年6月4日(土)–2022年11月20日(日)
開館時間
10:30–18:00
(祝日を除く、入場は閉館の15分前まで)
入場料
無料

「Texture from Textile」は、HOSOOがこれまで展開してきたインテリア素材や家具、アートピースなどのプロダクトラインをシリーズとして展示し、HOSOO FLAGSHIP STOREや、本展で展示している家具の設計を手掛けた、HOSOO architectureの代表であり建築家の細尾直久氏とともに、織物を「今日の建築思想」を更新する手がかりとしてとらえ、継続的な建築史のリサーチを展開していくものです。

「Texture from Textile」展は、「織物から建築へ」をテーマとし、Vol.1となる本展では「コンストラクションの系譜」と題し、家具や壁紙といったインテリアを建築の付属品として捉えるのではなく、人々の生活をコンストラクション(建設)するパートナーとしての側面に焦点を当てます。

アドルフ・ロースはエッセイ、『被覆の原則について』(1898年)の中で、建築を「絨毯(織物)」と「骨組み」に分解し、建築を絨毯による囲いから派生した「被覆」の延長としてとらえました。またロースは、絨毯の素材について、空間の目的を明確にする感覚をあたえるものとして説明しています。ロースのこれらの理論は、構造ありきで考えられてきた建築において、空間を覆う素材の役割に優位性を見出した極めて重要なものでした。19世紀にはジャカード織機の普及により、織物による壁紙の室内装飾が全盛を極めました。しかし、20世紀、構造の材料そのものの純粋性を追求したモダニズムの興りにより、建築の構造を覆う織物による室内装飾は、建築の表舞台から姿を消していきます。しかし、今日さまざまな新規素材が織り込める織物の進化により、新しい素材によるテクスチャーが次々に誕生し、室内装飾による新たな空間表現が可能になってきました。このような織物の進化は、現代建築における素材の役割に新しい着想をあたえ、建築史における装飾性やインテリアの諸問題について再び議論を促しつつあります。

HOSOOでは、1200年の歴史を持つと言われる最高峰の精緻な紋織物の製織技術を生かし、ジャカード織機による先端的なインテリアのコレクション開発に取り組んできました。本展では、これまでに開発したコレクションを実際に触れていただけるような形態で展示いたします。
また、本展の空間構成は、建築家・細尾直久がインテリアのある空間を舞台として見立てて設計することで、コンストラクションの系譜を現代の文脈へと再接続する試みでもあります。

Exhibition Handout Exhibition Sound (JP) Exhibition Sound (EN)

PROFILE

細尾直久

1981年ミラノに生まれ、京都で育つ。洛星高等学校卒業。近畿大学国際人文科学研究所で柄谷行人氏、岡﨑乾二郎氏に師事しながら、理工学部建築学科卒業。ミラノ工科大学留学を経て、David Chipperfield Architectsに勤務。
イタリアから日本へ帰国後、2015年京都にてHOSOO architectureを設立。
一級建築士。noteで「工芸建築論」を執筆中。