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庭と織物――The Shades of Shadows
- 会期
- 2024年12月7日(土)–2025年3月16日(日)
- 開館時間
- 10:30–18:00
(祝日・年末年始を除く、入場は閉館の15分前まで)
- 入場料
- 無料
- 会場
- HOSOO GALLERY
HOSOO GALLERYでは、「庭と織物──The Shades of Shadows」と題した展覧会をスタートいたしました。本展では、日本庭園・能楽の研究者である原 瑠璃彦、建築デザインスタジオALTEMY、そしてHOSOOの西陣織の職人が協業し、日本庭園をテーマに生み出された、織物、映像、音からなる総合的なインスタレーションを公開しています。
本プロジェクトでは、原が進める庭園アーカイヴ・プロジェクト*と連携し、京都・西陣に位置するHOSOOの織物工房HOUSE of HOSOOの坪庭を12ヶ月にわたって3Dスキャンを行うなど、さまざまなかたちでアーカイヴを構築し、そのデータをもとに絶えず変化する庭の姿を織物で表現するべく、約3年にわたり継続的に議論と実験を重ねてきました。
織物と庭園は、古くから多くの文化圏に存在しており、どちらも自然の要素を再構成する空間的・身体的な装置です。その中でも本展では、庭園における「かげ」を重要なテーマとしています。日本庭園にも、さまざまな「かげ」が存在しています。庭に立つ石や植物たちが光を浴びて落とす影は絶えず人の目を楽しませます。また、時代を通じて日本庭園につくられた池の表面は、複雑にちらちらと光る「かげ」を生じさせると同時に、周囲の風景を鏡のように「かげ」として反映します。水が用いられない枯山水庭園においても、水を代理する白砂は絶えず複雑な陰翳を生み出します。これらの「かげ」はいずれも静的なものではなく、捉え難く絶えずうつろい続けるものです。
本展は、「かげ」をテーマに新しくつくられた3つの作品から主に構成されます。2022年3月から2023年2月まで毎月HOUSE of HOSOOの坪庭を3Dスキャンして得られた12ヶ月分の点群データを基に4次元データを生成し、それを3次元に投影した映像インスタレーション《4次元のかげ The Shadows of 4D Garden》、坪庭の点群データを基に設計された特殊な箔糸を用いた織物のインスタレーション《かげのかげ The Shades of Shadows》、色を排除し織物の立体構造の「かげ」を純粋に浮かび上がらせる《色のない庭 The Achromatic Garden》の3作品に加え、これらの作品を通底するかたちで、庭で立体録音を行ったサウンド・インスタレーションを構成しています。本展では、さまざまな手法で取得した庭のアーカイヴに基づきつつ、多層的な時間と、静と動が交錯する新しい庭と織物の姿を表現しています。
* 庭園アーカイヴ・プロジェクトとは、古来、人と自然環境のインターフェースとして多様な展開を遂げてきた日本庭園に取材し、その歴史を踏まえつつ、日本庭園の新しい解釈による表現を行う研究プロジェクト。
リサーチ・企画:原瑠璃彦(庭園アーカイヴ・プロジェクト)
織物共同開発/空間構成:津川恵理、戸村陽(ALTEMY株式会社)
3Dスキャン測定・データ編集:[京都工芸繊維大学 KYOTO Design Lab]バルナ・ゲルゲイ・ペーター、
石田航平、池田瞭、井上智博、津田和俊
織物素材研究開発:[東京大学筧康明研究室]筧康明、西原由実、[株式会社ZOZO NEXT]中丸啓
録音・音響デザイン:東岳志
ヴァーチャル・ギャラリー開発:株式会社Skeleton Crew Studio
キュレーション:井高久美子
ディレクション:細尾真孝
広報:青柳桃子
宣伝美術:森田明宏
主催:株式会社 細尾
協賛:日東電工株式会社(Nitto)
科学研究費 基盤研究(B)
「動態としての日本庭園の総合的デジタルアーカイヴとその持続的構築システムの研究開発」(23K21898)
令和6年度日本博 2.0 事業(補助型) (独立行政法人日本芸術文化振興会/文化庁)
PROFILE
原 瑠璃彦
1988年生。静岡大学人文社会科学部・地域創造学環准教授。博士(学術)。一般社団法人 hO理事。専門は日本の庭園、能・狂言。
2020年、東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了。著書に『洲浜論』(令和5年度 芸術選奨文部科学大臣新人賞、第15回表象文化論学会賞奨励賞受賞)、『日本庭園をめぐる――デジタル・アーカイヴの可能性』。
2019年より庭園アーカイヴ・プロジェクトを始動。坂本龍一+野村萬 斎+高谷史郎 能楽コラボレーション「LIFE-WELL」(2013)、「翁プロジェクト」(2020–)等でドラマトゥルク担当。
ALTEMY
ALTEMYは一級建築士事務所で、津川 恵理、戸村 陽、小西 隆仁、丁 周磨の4名で構成。
代表の津川は、文化庁新進芸術家海外研修員としてDiller Scofidio+ Renfro (NY)に勤務。
神戸三宮駅前広場 デザインコンペ最優秀賞受賞を機にALTEMYを設立。
「Incomplete Niwa Archives 終らない庭のアーカイヴ」(山口情報芸術センター [YCAM] 2021)、「サンキタ広場」(神戸市神戸三宮駅前広場 2021)、「まちの保育園 南青山」(東京都港区 2024)、「渋谷区公園通りデザインコンペ2040最 優秀賞受賞」など。国土交通省都市景観大賞特別賞、土木学会デザイン賞優秀賞、東京藝術大学エメラルド賞、日本空間デザイン賞、グッドデザイン賞などを受賞。
関連イベント
「庭と織物」の主要なプロジェクト・メンバーが登壇し、3年にわたるリサーチや織物制作の背景、また本展のコンセプトについてトークを行います。
会期:2024年12月7日(土) 11:00 – 12:00
会場:HOSOO GALLERY 京都市中京区柿本町412
出演:原 瑠璃彦(日本庭園・能楽研究者)、津川 恵理(ALTEMY 代表)、戸村 陽(ALTEMY)、
細尾 真孝(株式会社細尾 代表取締役)、井高久美子(キュレーター) 英語での同時字幕あり
入場料:無料 事前申込不要